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09/12のツイートまとめ

yamamoto7hei

①我々には、皆、その時代時代の常識とか通念とかいったものがあり、それを前提にして新聞を読み、ラジオを聞き、テレビを見ている。ところが、もしそれが逆用され、悪用されると、全くあり得ない事をいとも簡単に信じこます事が出来るのである。<『私の中の日本軍』
09-12 08:12

②「一知半解は知らざるに劣る」というが、当時の日本人はその殆ど全てが軍隊や戦争に対して一知半解であり、そのため文字通り「知らざるに劣る」状態になって、それが米英撃滅論的な世論を生み出してしまったと私は思っている。
09-12 08:42

③何しろ世をあげての軍国熱があり、遊びといえば兵隊ゴッコ、読むものといえば忠勇美談、武勇伝、殉国美談であり、更に漫画では、犬まで兵隊を演じ、パンダと白黒を逆にしたような『のらくろ』は今のパンダ以上の人気者、その上、中学校に入れば学校教練という正課の「兵隊ゴッコ」があった。
09-12 09:12

④当時の学校教練は勿論正課の学科で、これの点が悪ければ落第した。恐らくその水準は、ある種の国の民兵程度だったかも知れない。従って当時の日本人は、非常に軍事常識があったわけだが、これがあらゆる面で逆に作用した。
09-12 09:42

⑤というのは「兵隊ゴッコ」というが、これは正確にいうと「歩兵隊ゴッコ」なのである。軍事教練というが、これは歩兵教練で、大体、中隊単位の戦闘訓練、軽機や擲弾筒の訓練まで正規の学課であった。今では想像もつかないことであろう。
09-12 10:12

⑥これが「軍隊=歩兵」という観念をいつしか全国民に植えつけた。同時に当時のマスコミも、いわばこういった読者を対象とするため、この観念をますます強めてしまったことと思う。
09-12 10:42

⑦同時にそういった軍事常識に基づいて、少尉といえばすぐそれを「歩兵小隊長」と考えることも、誰一人疑わぬ状態になってしまったのである。いわばこれが当時の「常識」である。常識や通念はもちろん虚偽ではない。
09-12 11:12

⑧事実「陸軍少尉」といえば、その殆ど全部が「歩兵小隊長」であり、それ以外の者はいわば「例外者」であった。今は勿論だが、当時ですら「砲兵で観通です」などといっても、「軍事常識」の塊みたいな、いわゆる「町の参謀」でも、何やらさっぱりわからない顔をしているのである。
09-12 11:42

⑨「エッ、カンツー将校?一体何やるんです」…一瞬怪訝な顔をする。そこでいわば測量屋と工事現場の仮設電話屋のような事をするのだといえば「ヘェー、じゃ軍属みたいなもんですな」といわれる。こういう事は珍しくなく、その為軍事知識の普及がなっとらんと憤慨している将校もいた。
09-12 12:12

⑩近代戦とはそういったもので、飛行場設定隊といえば、今の宅地造成屋なみに朝から晩までの土木作業だし、自動車隊といえばマル通だし、鉄道隊といえば「動労」だし、船舶工兵といえば小型フェリーのようなものである。
09-12 12:42

⑪当時の日本人の軍事常識というものが全く時代離れのした日露戦争並みのものであり、しかも皆がこの一知半解に固執し、本当の実態を見る目を逆に自ら塞いでしまっていたこと、それがすなわち「百人斬り競争」という記事をデッチ上げさせた背景であり、(続
09-12 13:12

⑫続>同時にそれは「百人斬り」的行為をしていない軍人は軍人と認めない事にもなった。…従って当時の人が向井・野田両少尉と書いてあるだけで、何の疑いもなくこれを歩兵小隊長向井少尉と同じく歩兵小隊長野田少尉と受けとり、当然の事だから「歩兵小隊長」を略したと考えるのが当たり前である。
09-12 13:42

⑬ただ私が関係者の証言で非常に驚いた事は、この人々が平然と「戦意高揚」のため書いたといっている事である。そして恐らくこれが、軍部がこの記事を、すなわちもし事実ならば向井少尉を軍法会議に回さねばならぬ程の事が書かれているこの記事を、また向井少尉自身を不問に付した理由であろう。
09-12 14:12

⑭前に述べたような典型的な、外部から軍部へのゴマスリ記事を彼らは鷹揚に受け入れたのであろう。しかしその結果、それによって徹底的に苦しめられたのが、一般の日本人であった。外部の人間の上役へのゴマスリが、どれだけ下っ端を苦しめたか。
09-12 14:42

⑮「戦意高揚」と筒単に言うけれど、これは「国民を戦争へと扇動する」という言葉とどこに差があろう。近代戦の恐るべき実体を隠し、その戦場が「百人斬り」の場であるかの如くに書きたてた事、それが一体どういう結果になったか。
09-12 15:12

⑯先日、ある週刊誌の座談会で、戦史家秦郁彦氏が、戦争の末期には「プロは投げちゃって、アマばかりハッスルしていた」と言われたが、これは私の印象ともピタリと一致する。
09-12 15:42

⑰戦意高揚という名の扇動記事・ゴマスリ記事が、軍事知識の一知半解人を完全にめくらにしてしまったのだ。私が前に「目を潰された大蛇が自らが頭に描いた妄想に従ってのたうち回って自滅した」ような印象を日本軍に対してもっていると書いた。その目を潰したのは、こういった記事なのである。
09-12 16:12

⑱戦後は軍事知識の一知半解人はいなくなったが、新聞、ラジオ、テレビは、別の面での恐るべき多量の一知半解人を生み出しているように思う。一体これがどうなって行くのであろう。知らない事は知らないでよいではないか。知らない事には判断を差し控えて少しも構わないではないか。
09-12 16:42

⑲同時に、専門家ははっきりと専門家としての判断を公表する義務があると私は思う。と同時に専門家でない者は、専門家の意見を冷静に聞くべき義務があると思う。だが一知半解人は、常にそれができなくなるのである。
09-12 17:12

⑳大分前の事だが、源田実氏が「ヴェトナム戦争は、純軍事的に見れば北ヴェトナムの実質的敗北で終ることは明らかだ」といった意味の事をいわれ、当時これが「勇気ある発言だ」と書かれていたのを何かの雑誌で見たが、瞬間、ムカッとしたのである。
09-12 17:42

㉑今それを言うなら、なぜ太平洋戦争の前にそれを言わないのか!米・英・中三国との戦争の結果は、貴方には「純軍事的に見れば、はじめから明らか」であったではないか。貴方は軍人ではなかったのか。軍事の専門家ではなかったか。
09-12 18:12

㉒他国の事に発言するくらいなら、なぜ自らの祖国とその同胞の為に発言しなかったのか。勿論ヴェトナムについて発言する事すら勇気がいるのだから、当時の日本で、日本について同じような発言をする事は、死を覚悟しなければ出来なかったであろう。
09-12 18:42

㉓しかし例え代表的な新聞が社説で「対米開戦」を主張しようと、それは本多勝一氏の様に「百人斬り」を近代戦の実態と考え、これを断固たる「事実」と主張しているアマのハッスルにすぎず、それに対して例え一知半解人が双手をあげてこれに賛同しようとそれは専門家の判断基準にはならない筈である。
09-12 19:12

㉔その場合、専門家は、例えいかなる罵言雑言がとんで来ようと、たとえ、いわゆる「世論」なるものに、袋叩きに遭おうと、殺されようと、専門家には専門家としての意見を言う義務があり、それをはっきり口にする人が、専門家と呼ばれるべきであろう。
09-12 19:42

㉕ただ私は、宮沢浩一教授の『ペンの暴力』という一文を読んだ時、つくづく戦争中を思い出したのである。次にその一部を引用させて頂く。【わが国では、各地のいわゆる公害裁判で、原告に加担するマスコミが既に結論がでているとばかりに、被告の訴訟活動に不当な圧力をかけている。】
09-12 20:12

㉖【被告会社の主張を科学的に裏づけようとする鑑定証人に加えられるペンの暴力によって、専門家は発言を事実上封ぜられる。裁判の場では、両当事者は対等の立場で、使用しうる限りの科学的知識を動員して、その主張の合理性を争わねば、真実を誤る。】
09-12 20:42

㉗【法律の適用についていかにすぐれた能力を待つ裁判官でも、科学的な判断には、専門家の助けを借りなければならない。冷静に戦わされる専門家の意見に耳を傾け、原告・被告の言い分をじっくり聞いて判断を下さねばならないのに、(続】
09-12 21:12

㉘【続>先走った感情論から、被告側の鑑定人の足をひっぱる応援部隊が「資本家の走狗」よばわりする図は、中世の暗黒裁判に似ている。金沢大学の学長が、イタイイタイ病問題での周りの付和雷同性をたしなめると、今度は学生が騒ぎ、マスコミが弾劾の論陣をはる。】
09-12 21:42

㉙【いつになったら、この頓馬なセンセーショナリズムがなくなることだろう】教授は「この頓馬なセンセーショナリズム」と書いておられるが、戦争中は文字通り「この頓馬なセンセーショナリズム」の連続であり「百人斬り競争」という記事は、その一つだったにすぎない。
09-12 22:12

㉚そしてこういったセンセーショナルな記事の連続が専門家の口を封じ、アマだけを異常にハッスルさせるという結果になった。それが秦郁彦氏の指摘した戦争末期の実状であろう。そして小規模ならば、太平洋戦争と同じのこのパターンの事件は、国内の至る所で繰り広げられているように思われる。
09-12 22:42

㉛この「百人斬り」的な「頓馬なセンセーシーナリズム」と「軍備」とが結合し、世界中から袋叩きに会ったのが、太平洋戦争の一面だという事である。従って再軍備の危険性はむしろこの百人斬り的「頓馬なセンセーショナリズム」と軍備との結合という点から考えるべき事であろう。
09-12 23:12

■山本七平botまとめ/『一知半解人のハッスル』https://t.co/Yqo12g4Kku
09-12 23:42

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